普通の会社員のまま芥川賞受賞 松永K三蔵さん、毎朝出勤前に2時間執筆 社内には「いや~全然バレてませんね」_sheffield united vs man united
普通の会社員のまま芥川賞受賞 松永K三蔵さん、普通毎朝出勤前に2時間執筆 社内には「いや~全然バレてませんね」スポーツ報知 松永K三蔵(まつなが・ケー・さんぞう)さん(44)の芥川賞受賞作「バリ山行(さんこう)」(講談社、社員受賞松永2時1760円)は、のまさんはいや~バレてませんねsheffield united vs man united主人公が山登りを通じて人生を見つめ直す「純文学山岳小説」。ま芥間執兵庫県の六甲山を舞台に、川賞K蔵出勤通常の登山道から外れる「バリ山行」に挑戦する物語だ。毎朝松永さん自身、前に全山を愛する会社員。筆社山を登るかのようにコツコツと楽しみながらたどり着いた、内に純文学最高の賞でもあった。普通(樋口 智城) 「芥川賞ですか。社員受賞松永2時とてもうれしくて、のまさんはいや~バレてませんね光栄なことだなと。ま芥間執ただ自分の書きたいことを書くだけだったので、川賞K蔵出勤たまたま入れていただけたのかな」 松永K三蔵というポップな名前。毎朝さぞかしファンキーな方なんだろうな…というこちら側の勝手な思惑は大外れ。sheffield united vs man united話すそぶりは、44歳のふつうのおっちゃんという感じだった。まずは気になったことから。そのお名前は…。 「三蔵は祖父の名前です。私に文学を教えてくれた母が敬愛する祖父の名を引き取らせてもらいました。松永は親族の名字を借りましたね。Kはミドルネームですね。親族にイニシャルが多かったのでつけました」 ははあ。モンキー・D・ルフィみたいなノリですな。 「ミドルネーム、初めは編集部の方々に反対されましたが押し切りました。逆にKがなくて『松永三蔵』だとリズム的にさみしいじゃないですか」 同書では、主人公が会社のベテラン社員に触発され、通常の登山道から外れるハードな山登りに挑戦する。舞台は六甲山。関西のデートスポットになっている、誰にもなじみのある低山だ。自身も六甲山にたびたび登る。 「私は基本的には登山道を歩いてますが、迷うことよくあるんですよ。ちょっと道を外れると、急に山の静けさや自然の美しさとかを実感する。いろいろ調べると、登山道を外れたところを登る『バリ』をやっている人たちがいると知りまして。ヒントになって小説にしようと思いました」 「バリ山行」は、日常と非日常の狭間(はざま)という微妙なバランスに立つレクリエーション。 「六甲は象徴的ですよね。山頂までガッチリ車道があって、上にも街がある。でも、その隙間に立ち入れない非日常は挟まっている。この本でも、バリ山行で非日常にチャレンジしているが、結局は街の中という日常のなかでしかない。そういう皮肉も本には込めたんですけどね」 自身の趣味も山登り。 「2019年に新田次郎さんの『孤高の人』を読んだのがきっかけ。趣味歴4年なので、まぁニワカです。もともと体動かすのが大好きなんでロードバイクとか乗っていたんですが、1人でリュック背負うのもエエなと目覚めました」 松永さんはいま「オモロイ純文運動」を提唱している。ホームページを見ると「純文学はひらかれていて、オモロイのだということを世間にわかってもらう文学運動」と書かれている。 「坂口安吾の言葉で『小説はいくら面白くても構わない。(中略)そういうことで文学の本質が変化することはない』というのがあります。純文学の定義って『人間とは何か世界とはなにか本質的なモノを扱う』だけで手法は問わない。でも、いろいろ凝って『ややこしくて分からないのが純文学だよね』ってなっていることに、危うさを感じています」 あふれる純文学愛。きっかけは何だったのだろうか。 「中学2年生のとき、母親にドストエフスキーの『罪と罰』を薦められたのがきっかけ。ものすごいエネルギーとか世界の深遠さ、現実世界を、虚構を通じて『体験』しました。漫画しか読んでいなかったので、頭では理解してなかったと思います。それでも世界が一変する衝撃を受けました」 翌日からノートを買い、小説を書き出した。 「俺もこういうの書きたいってなって、高校生でもずっと書き続けて。大学卒業くらいから、賞に投稿し始めました」 2002年の卒業後は、ずっと会社員だった。 「福祉系職員や建築・不動産関係の会社とか、何度か転職して今に至ります。その間も小説は書いてましたよ。朝出勤前に2時間くらい書くっていうのがルーチン。毎日書かないと調子悪くなっちゃう。スッキリしたいんです」 21年、群像新人文学賞で「カメオ」が小説部門の優秀作に選出され、同書でデビュー。苦節20年とも言えるが、苦節感はまるでない。 「書くことが苦じゃないんですよ。登山、ロードバイク、小説みたいな感じで。友人に『ホンマ勘弁してくれ~』って言われながら『幸せやぞ~』ってむりやり読ませたりしてました。年間3~4本ペースで出してましたが、1つ作品が完成できたところでカタルシスがあるというか。落選したら多少落ち込みはしますけど、まぁ次書こうかってなりますから」 普通の会社員が芥川賞受賞。社内で大騒ぎにならないのだろうか。 「いや~全然バレてませんね。文学の話なんて会社で一切しない。同僚とかは本書いていることすら知らないですよ。副業規定があるんで、人事と直属の上司にだけは言ったんですけど」 受賞時にテレビとかに出てますけど…。 「公の場では眼鏡と帽子しているので、印象変わるんじゃないですかね。まぁ面倒くさいので、ホント知られたくないです」 20年以上結果が出なくても構わない。周囲からの名声やチヤホヤもいらない。こと文学においては「好きなことをやる」に特化したからこそ達する境地。 「おもろい純文運動、もっと広めていきたいですね。芥川賞いただいたんで、こんな機会はない。私は不器用でリアリズム小説しか書けないんですが、本は分かりやすくストレートで読みやすいかなと。特に読書に興味ないよって人に、読んでほしいですよね。自分の原体験がそうでしたから」 【松永さんが選ぶおすすめ一冊】 ◆新田次郎著「孤高の人」(新潮社刊) 私の登山趣味のきっかけになった本ですが、本当におもしろいですよ。普通に読みやすいですしね。 社会人登山家として、いままで常識だった「パーティー」じゃなく「単独行」で山に挑む人の物語です。スポーツ紙だと、サラリーマンの方がたくさん読んでいるでしょ? この本にはお仕事面での活躍もかなり書かれてあって、読者層としてもピッタリです。共感しやすいというか、刺さる人、多いと思いますよ。 仕事をしていると、みなさんググーッと我慢しているじゃないですか。そんな空気を打破したい! やりたいことやりたい!と感じている人は、きっとスカッとすること請け合いです。(談) ◆松永K三蔵(まつなが・ケー・さんぞう)1980年、茨城県生まれ。44歳。2002年に関西学院大文学部卒。21年に「カメオ」で群像新人文学賞優秀作となり、同作でデビュー。24年に「バリ山行」で芥川賞を受賞した。兵庫県西宮市在住。
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